2021-01-01から1年間の記事一覧

波の上を跳ねるように生きて在りたい

通じ合わないものだとわかっているから通じ合うことを信じられるし、 わかりあえないことを知っているからわかりあおうと思えるのさ 目には見えない飛行機が過ぎて行く音だけが聞こえる 丸い月をかじってみたくて伸ばされた小さな手を 透かした光が散乱して…

断片

田舎町の石垣 謎解きだと思って 鋏で撫でる 素直になれる そっとなれる 普通になれる 蝿が回る音 彼は前が見えない だから留まっている 鋒に

巨人の靴

時間に物差しを当てた時から この世界は狂ってしまった 過ぎてしまった時と これから来るべき時に 何一つ同じものはないのに 僕が感じた気持ちと 誰かの気付いたきらめきが 同じことなんてありはしないのに 変わり行くことこそが この世界を支える巨人の片足…

貫通

無限の宇宙を 意味という型で切り出した ブロックでビルを建てて その端数でできた砂塵を かき集めたおれのいのち 風に紛れたとき恒河沙を追う 雨樋を伝い流れ滴る 苔を齧るなめくじのように 紐を結ぶ天の川の中の 意味世界の切れ端たち

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詩情以上の思索は要らず 散文以上の詩情も要らない 求めない人に話す言葉もない ただあるがままの暗黒と そこにある結露に触れる それ以外の何者でもない ただ僕は力で知恵で 思いやりであなたへの愛で たとえ道を違えたとしても その足を使い棄てはしない …

月の匂い

夜半、目が覚めて 何かの匂いを感じた ベッドからなかば起き出して あたりを見渡すと カーテンの隙間から 白い光がこぼれている 透明なその匂い 焦点を合わせて その滲みを見つめてみる 小さな妖精が舞うような そしてその鱗粉が散るような 暗い森の中 小さ…

トライアングル

どんな宝石にも煌めきを見せるためのアングルがある

見知らぬ誰かが首を振る それに合わせて首を揺らす 連なる鈴がつられるように 連続する響き こだましていつか狂乱する 叫び声を連ねる 揺らした首が 金切声をあげ続け 重なる反射音 ゆらぎとうねりが繋ぐ紐を また強く揺らしていく 揺れる鈴が こだまして 反…

君の腕に抱かれながら また何か大切なことを忘れている、 ような気がしている