田舎町の石垣
謎解きだと思って
鋏で撫でる
素直になれる
そっとなれる
普通になれる
蝿が回る音
彼は前が見えない
だから留まっている
鋒に
田舎町の石垣
謎解きだと思って
鋏で撫でる
素直になれる
そっとなれる
普通になれる
蝿が回る音
彼は前が見えない
だから留まっている
鋒に
時間に物差しを当てた時から
この世界は狂ってしまった
過ぎてしまった時と
これから来るべき時に
何一つ同じものはないのに
僕が感じた気持ちと
誰かの気付いたきらめきが
同じことなんてありはしないのに
変わり行くことこそが
この世界を支える巨人の片足
それが靴を履く必要などありはしないのに
僕たちは忘れてしまった
小さな砂粒と夜空の星のきらめきが
同じ素材で出来ていたこと
両手で受けた雨水に
海と同じだけの広さがあること
ねむの木の花が咲いている
花から花へ渡る蜜蜂になって
広い荒野を飛び回りたい
前も後ろもなく
ゆえに前進も後退もない
いのちは進まない
ただ揺らぐだけの
天使の髪を束ねたような
ねむの木の花