大人になった

去年は大人になったとよく言われた。

たしかに、落ち着いてものを言ったり考えたりするようになったと思う。

就職して、幸いよい上司、先輩に恵まれて(世の中の社会への愚痴が全て嘘に思えるくらいに!)、自分の好きに動くことが第一歩だとわかったことが、大切だったように思う。

好きに動く。それは、無理をしないことや、いらない気をつかわない(これはさすがにたまに注意される)ことを教えてくれた。無駄な背伸びもしないでいい。自分の能力を出せるだけ出せば、それで十分なんだと。だれも僕のことなど知らないのだから、全てゼロから始めてよいのだと。

それはつまり、虚栄心を捨てることで、それで自分の、かなり程度の甚だしいと思う、傲慢さや、卑屈さが薄れてくれたのだと思う。

最近はちょっとずつ仕事場での自分というキャラクターが出来てしまったので、また少し混乱してきているけれど、それは別の話で。

好きに動く。そしてゼロから始める。それは、それまでの自分の後悔や、これで大丈夫だ、と言い聞かせてきた不安を全て捨て去ることだ。いびつだなあと自分で思いながら、レールの上、課せられた自分自身という列車を一度まるまる変えてしまうことだ。

そうして、新しくなった僕は、それまでの僕を許した。それまでの僕が抱えてきた思いを許した。抱えてきた経験や、不満をも許してしまった。

なぜ僕は大人になったと言われるのだろう、なぜ皆も大人になったように思うのだろう。僕らはたぶん、何かを、誰かを許せた時に大人になってしまうんだろう。

きっとだれもが行き着いてる返答で、それは何も新しいことじゃなかった。なのに、こんなに大切なことに気づいたような気持ちになるのは。

ああ、そうか。許してしまったんだ。

...

つぎは、別れを言えるようになれるよう頑張ります。今年の抱負です。

 

ピナトゥボの世界観

ピナトゥボの世界観

光の国へ!光の国へ!

壁に描かれた教典には、束に実った柿や、茅葺の羽織で耐え忍ぶ人々がいる。

巨大なバナナの葉や、アナナスの花を供えた。

光の国へ!ピナトゥボの世界観へ!

鮮やかな七色の光の槍をひとつずつ、教典に描かれた心臓に突き立てていく。

滲み出たどす黒い血を銀の缶で受け止める。

葉桜の石英の粉で、傷まみれだよ。

行進だ!