わたしは寡軍

わたしは寡軍

曲がりくねった坂道を

駆け下りる馬

鉄を流す溝

青い土が水晶のように

光沢をます

まい上がる煙に

惜別の蓋をする

 

わたしは寡兵

軍に配属されたのち

土をこねる仕事についた

ぬめる褐色が思い出させる

荒野の戦場

あの馬の毛並み

 

降り積もった砂塵を

手のひらで転がし擦り付け

ガラスのような肌に無数の傷をつけた

鉄皿に焦げついた部分も

そうやって剥がしてた

 

風が深海魚のように

ゆっくりと山並みを通り過ぎる

それにゆられた木陰の色柄に

いつか青い空を見上げた

そんなことを思い出した