歩く人

バスの窓から、きれいに晴れた街をぼんやり眺めていた。
肌寒くなってきた季節に、多くの人が外套を着込み、それぞれの歩調で歩いている(またある人は自転車にまたがっている)。
車の来ない信号にぼんやり突っ立っている人。街中に犬を散歩させる人。あくびしてる人。
今日は日曜の朝だ。

なんだか人の顔ばかりが目に入る。
きっと人の、そういうとここそが、すべての美しさの中心なんだ、なんて仰々しいことを考えたりして。
ともあれ僕は嬉しいのだ。
みながみな、楽しいこと苦いことを懐に抱えて。それでいて、平然と自分が中心の世界を歩いていることに(陳腐なまでに当然のことなんだけど、ここではそういう意味ではなく)。
そして、僕がその中の一員として何だか、蠢いていることに。

ともあれ僕は嬉しいのだろう。タブンネ


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ガラスばりの壁に、朝日が反射した。