ひしゃげた自転車のフレームが

太陽光線を曲げて

夏草の露がきらめくそんなとき

決まって思い出すのはあのひと

 

かけがえのないときをともに過ごす

どうしようもないことを振り返ってなげく

まちがえてもいないことを深く悔いたり

ときにはその深海で明かりもなく

上下の感覚もなくなってしまって

水草に絡まるように暗い想像にとりつかれた

 

迷いの扉を大きく開けて

流れ込む冷たく湿った空気を

肺いっぱいに取り込んだ

ぼくはここに踏み出せるのか?

 

月明かりが照らす回廊を

足音とともに揺らぐ

そのさまは、まるで

蛸みたいじゃんね