カラン

カランってなんや?伽藍とちゃうんか?

伽藍堂というのは、大きい木のウロのことで、

無限遠に広くて高い

湿度がひっそりと音を吸い込んで、

命を盗む気配がする

だが、ほんとうは、

多くの生物が潜んでいる

活き活きとした野のあおい光は、

視覚に頼って生きる我々の安全の証だから、

俺の命と、彼らの命は、本質的に相容れない

 

静けさが滴り落ちるように被さってくる

この時空上に、俺はただの一人

与えられた肉体だけを抱いて

立ち向かえというのか

人の姿を借りて現れた

命の化身を象った黄金の

気配を察してしまえば

あとは表象を持ち去られる

 

そこに潜む花弁に少しずつ齧られる

そのことにも気づかないまま

 

押さえるカランも、ひねるカランも

吐き出すものは変わらない

肌を舐めるように駆ける

ひとりごとをつぶやいてる君と僕だな