砂浜で夢中になって集めた透明な石は、いつか砕けたガラス瓶の破片だった。
それはかつて一つだった彼らの宿命だったのかもしらん。
海に流された僕らの粉のような断片は、またいつか渡り鳥に啄まれ、鰯の群れに飲み込まれ、日差しにあてられ、そしてまたいつか浮上して大きな雲になる。
波打ち際で、濡れた砂に背中を預け、大きく腕を広げてみた。
十字架に架けられたようだな、と思い、やけるような自分の身体をも、思う。
「永遠は螺旋に連なり、惑星の軌道を描くのだ。」
僕らの粉のような断片なんて、たかが知れてるから、自由になれるってさ。
やける身体を思いながら、瑣末のやりとりさ。
ガラスの欠片を指に摘んで、透かしてみたら、薄紙みたいな空を貫いた。