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いつかの気づきを反芻する

たとえばまつ毛がツンと上を向いている人と、萎れたようにぼんやりした人。

月か電球かはわからないけれど、粒のような水滴にその光が屈折し、ぼくの目に落ちてくる。

 

むやみやたらに徒長した枝のような思考に興味はないんだ。

毛穴みたいなところから染み出した、無意識と意識の間の心が、外気に触れては乾き、蟻塚のような歪な形を成していく。

そんな歯垢みたいな壁の上には、どんな思想もよく根付くよ。

よく削れ。よく剪定せよ。

われわれの心は盆栽のようだ。口をつく言葉は心の枝葉で、剪定されては地面に落ちる。

 

きみが瞬きをした。

光がぽつりと滴った。

心のなす無限の形のうち、どれだけの輪郭に触れることができるだろうか。

確かに伝わったって思う瞬間だってあるんだ。

きっと本当はそんなときばかりのはず。

僕はいつまででも信じている、人と人とがわかりあえることを。

戦争のない世界も、差別のない世界も、自ら命を絶つ必要のない世界も、全部実現できるんだと、本当に思ってるよ。