解散

土は任務をやめた。
アスファルトや、木々、だれかに与えられた役割をあるとき、皆が放棄したのだ。
その刹那の、みなの踊るように広がる様といったら。
小鳥は羽を取り外し、犬のような声をあげる。車は自壊したかと思えば、部品各々が跳ね回る。落ち葉は粉々になっては舞い上がり、ペットは一人走り始めた。
太陽は黒く染まり、空は色をなくす。
川は燃え上がり、天地が135度回転する。
地震がおこり、我らは其れにむしろ適応する。
楽隊は焚き木を始め、ビジネスマンは空に横たわった。
これからが街だ。中空の心を埋め尽くすのは、大きな石ではなく、小さな砂ばかりさ。