役場

役場前のバス停の、水色のプラスチックのベンチの上の、おじいさん。

同じくらい青い空に、厚く塗りつけられた白い雲。
淡い色合いの帽子を被り、分厚いジャケットと眼鏡を羽織り、手ぶくろに包まれた両手を擦り合わせていた。
カモメが旋回していった。
 
白い無機質な壁に、なにともしれないポスターが貼り出されていた。
ぼんやり眺めているかと思えば、目線は途切れる。
バスが来た。
しばらくその番号に目をやり、ゆっくり立ち上がった。
ドアが開き、またゆっくりと上ると、バスはまた発進した、ブルルン。
 
淡い淡い色合いが、肌を撫でていった。
耳を澄ませて遠くの音を聴いたならば、低く低く心の底を通って行くのだった。
 
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カモメはふらふらしていった。