白い鳴声

きだだだんポン。

 

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蛍光灯の照らす部屋、

開いた窓から風が吹き込む。

時間も遅くなり、人が少なくなった研究室にて。

夏の終わりも過ぎて、夜は彼らの鳴声が聞こえるようになった。

まばたきをする。

蛍光灯が窓に反射している。鏡のように反射する。

まばたきをした。

向こうから、フラッシュを焚いたような光。

白い閃光。

その残滓が、きらきらと降る。

 

虫の声は静止を思わせる。静寂である。

白い残滓と彼らは相容れない。

それでもフラッシュのその瞬きは、彼らと重なったような気がしたのだ。したのであった。したのである。

 しののめの五月にて。

月は未だ往く。


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